骨折
したことありますか?
オレは小学2年生の時に一度だけ骨折してます。
右腕の手首にヒビが入って、肘を骨折。
友達と順番に二段ベッドの上から飛び降りて遊んでる時に折った!w
あの時の激痛はビックリしたな。
受け身なんて知らないし、着地はしゃがみ込んだと同時に両手を床に着いたらボキッて変な音がしたんだよな。
そのまま寝転んで泣き出して、吐き気が止まらなくて大騒ぎ。
半日ぐらい湿布貼って様子をみたけど、痛みは取れず気持ち悪くて症状変わらずだったので 接骨院に行った。
当時のギブスは辛かったなぁ。
夏だったし、痒いし!風呂にもろくに入れなかった。
1ヵ月石膏で固められた腕は何もすることができなかったな。
そんな時のある日、ギブスをつけたオレは学校で教室当番が回って来たことがあって、水を汲んだバケツを左手に持って教室に入ったんだ。
そしたら…
今でも忘れもしないな
先生がオレを見ていきなり大きな声で
「バッカモーン!」って
オレはビックリして肩をすくませた。
バケツに水汲んできただけなのになんでそんなにいきなり怒る?
と思ったら、オレに怒ったんじゃなくてクラスのみんなに怒鳴っていた。
ケガ人にこんなことさせるヤツがいるか!って怒鳴ってくれたんだ。
すぐに近くにいた子たちが手助けをしてくれた。
その先生、今はもう亡くなってしまっているけど、熊澤先生っていって
声はデカいし、おこりんぼだし、どっちかって言ったら怖い印象のおじいちゃん先生。
でも、オレは好きだったんだよな、この先生。
先生が退職する日の挨拶の言葉も覚えてる。
朝礼で 「皆さん本当にお世話になりました。明日からは熊澤先生は先生ではなくなります。
ただの「熊コウ」になります。」
って言ったことが忘れられない。
ウケ狙いで言ったのかもしれないけど、オレは涙がにじんでたな。
小学2年の担当。
それから何年かしたら不思議なことが起こった。
オレも社会人になって思い出なんて振り返る余裕もない頃
大井松田に住む親戚の叔父さんから連絡が来て
「オマエ熊澤先生ってしってるか?」って
「小学2年の時の先生だよ。」
「仕事の帰りにな、オマエの話をしながら歩いていたら、熊澤先生が今話していたのはもしかしてオマエじゃないかってオレに話しかけて来たんだよ」
「え〜っ!そんな偶然あるー?笑」
「オマエは私の教え子だって言ってきて、意気投合したんだよ。なんとそれもご近所さんだったんだよ」
なんと言う偶然。
電話番号を聞いていてくれていたので、すぐにかけたら先生元気そうで、
遊びに来いってことになって大井松田まで行って顔出したっけな。
2回目の訪問の時は体調崩してて、秦野の駅がきれいに建て替えられた頃から調子が悪くなったと言ってたな。
そして葬儀にも参列させてもらった…
そういえば後にも先にも、オレにとってこんな先生はいない。
定年するまで何十年も教員でありながら、何百人も、何千人かも、
生徒を見送って来た中で、たった1年間しか一緒に過ごしてない一人の生徒(オレを)を、何年経っても忘れないでいてくれた。
それもこんなオレを、覚えていてくれたんだ。
もっと優秀で礼儀正しくて素直な生徒はいっぱいいただろうに。
そして偶然にも世間話しながら歩いているオレの親戚の叔父さんを捕まえて、
もしかしてそいつは…
なんて普通、話しかけてくる?
神だな。w
家にお邪魔してる時に話が途切れたことがあって、
先生の部屋の周りを見渡した時。
オレの顔を見て…
「なにもありゃしねぇよ」とひとこと言って笑った。
オレは先生の形見になるものでも貰えないか辺りを見回したんだった。
見透かされた瞬間だった。
先生スゲーな。
オレは笑ってごまかしたっけな。
たしか先生と撮った写真があったな。
見つけてみるか。
熊澤先生、改めて合掌。